「それにしても、レイニー殿下とフローラ嬢の事はいつから知っていたのだ?」
「……ユージーン殿下の祝賀会で……ぐ、偶然、お見掛けしてしまったのです」
レイニー殿下からのプロポーズを夢見て追いかけて行ったとは、とてもではないけれど言えない。
「そうか、そういうことか。わしも婚約の話が出るまで知らなかったのでな、不思議に思っていたのだ。やっと腑に落ちた。殿下と恋仲だと知ったそなたはずっとフローラ嬢に嫉妬していたんだな?」
嫉妬。
そうよ、だって、レイニー殿下に愛されるフローラが羨ましくて妬ましくて、彼女に感情をぶつけることで憂さ晴らししていた。
そのことを思い出すと更に涙が溢れてきた。
レイニー殿下に相応しくあろうと努力していた日々が無駄になってしまった口惜しさとともに。



