「信じ込ませるって、そんなつもりはありませんでしたわ。ただ、夢の世界に浸っていただけで、そうでもしなければわたくしの心が壊れそうだったのです。それに、エマには口外しないように言っておりました」
「だから、自分は悪くないと言い訳をするのか?」
「そういうわけでは……」
何をどういえば理解してくれるの?
「夢の世界に浸るか、物は言いようだな。そんなものは自分の勝手だが、他人を巻き込むときに真実を教えなかったのはどうしてなんだ。そなたが嘘だと自分が作り出した世界だと何故教えなかった」
「それは、だって、わたくしとエマの秘密だったからですわ。レイニー殿下の事は諦めていましたし、わたくしの結婚が決まった時点で終わったのです。彼女だってそれをわかっていたはずですわ」
必死に訴えるけれど、お父様の目は冷たくなってゆくばかり。



