「ビビアン。正直に話してほしい」
お父様が呼びかける。
エマのためになるのなら協力するわ。わたくしは笑みを湛えて頷いた。
「そなたは、いつ、レイニー殿下と恋仲になったのだ」
「……えっ、あ……」
なぜ、それを……
椅子からひっくり返りそうになるような衝撃で言葉を失った。
「初耳だったのでな。天地がひっくり返るほど驚いたのだが、わしたちが知らないだけだったのか?」
「あ、あ……」
気が動転してしまって言葉が出て来ない。
まさか……エマが、そんなことを言ったの?
「どうなんだ?」
「そ、それは……」
「殿下とはガーデンパーティーで出会ったとも聞いた」
「……」
「どうなのだ」
「い、いえ、それは……ちょっとした夢で……」
どう答えればいいの?
もしかして、エマに話して聞かせた物語がすべてばれてしまっているの?
ガタガタと体が震える。血の気を失った指先が冷たくなっていった。



