婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「ビビアン。正直に話してほしい」

 お父様が呼びかける。
 エマのためになるのなら協力するわ。わたくしは笑みを湛えて頷いた。

「そなたは、いつ、レイニー殿下と恋仲になったのだ」

「……えっ、あ……」

 なぜ、それを……
 椅子からひっくり返りそうになるような衝撃で言葉を失った。
 
「初耳だったのでな。天地がひっくり返るほど驚いたのだが、わしたちが知らないだけだったのか?」

「あ、あ……」

 気が動転してしまって言葉が出て来ない。
 まさか……エマが、そんなことを言ったの?

「どうなんだ?」

「そ、それは……」

「殿下とはガーデンパーティーで出会ったとも聞いた」

「……」

「どうなのだ」

「い、いえ、それは……ちょっとした夢で……」

 どう答えればいいの? 

 もしかして、エマに話して聞かせた物語がすべてばれてしまっているの?

 ガタガタと体が震える。血の気を失った指先が冷たくなっていった。