「エマは帰ってこない。永久に帰ってこないだろう」
「え、それは、どういう……」
「エマは、黒だった」
「……」
「犯行を認めたよ。盗賊達に誘拐を依頼したとエマが自供した」
黒? 犯行を自供って……うそ。うそよね。
「エマが、そんな、何かの間違いですわ。彼女がそんな誘拐なんて、犯罪にかかわるなど考えられません。お父様、エマは心優しい人なのよ」
「わしだって信じたくはない。しかし……。エマはそなたの言う通りの人柄なのだろう。その心優しいメイドが犯罪を犯す。その原因は何だったのか。ビビアン、そなたに色々と聞きたいことがある」
お父様の冷淡で地を這うような低い声がわたくしの鼓膜に響いた。



