「奥様、旦那様がお帰りになりました」
「ええ。すぐに行くわ」
席を立ったお母様と同時にわたくしもはやる気持ちを抑えきれずに席を立った。
お母様と一緒にお父様とエマを迎えたいわ。
「お嬢様はあとでお呼びいたしますので、自室にてお待ちください」
ヨハンの冷静な声に冷や水を浴びたように固まった。わたくしはあとってどうして?
「わたくしも行きたいわ。エマも帰ってきているんでしょう? わたくしのメイドよ。早く、会いたいわ」
お願いしてみたけれど、ヨハンは首を横に振って
「旦那様からは奥様だけだと伺っております。旦那様からお呼びがかかるまでお待ちください」
無情な返事が返ってきた。
「ビビアン、エマにはすぐに会えるわよ。楽しみは後に取っておくのも良いものよ」
お母様は気遣うようにわたくしに軽くハグするとヨハンとサロンを出て行った。
残されたわたくしは萎んだ気持ちを抱えて部屋に戻ると、ひたすら呼ばれるのを待った。



