「そっか。ローラは国民の一人として、俺のことを大事に思ってくれているってことだね」
国民の一人として……改めて問われると、どこかが違うような気が……しなくもないような。だからと言って何が違うと言われても、説明できないんですけれど。でも、間違ってもいないような気もするし。
頭の中で自問自答し、導き出した答えは――
「はい。レイ様はとても大事な方です」
そこは自信を持って言い切りました。
レイ様を大事に思っていることは本当の気持ちです。嘘ではありません。
あ、あの……レイ様?
どうしたのでしょう。
再び固まったまま微動だにしないレイ様は、まるで精巧に作られた美しい石像のよう。
見惚れている場合ではないのですけれど。



