婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「そっか。ローラは国民の一人として、俺のことを大事に思ってくれているってことだね」

 国民の一人として……改めて問われると、どこかが違うような気が……しなくもないような。だからと言って何が違うと言われても、説明できないんですけれど。でも、間違ってもいないような気もするし。

 頭の中で自問自答し、導き出した答えは――
 
「はい。レイ様はとても大事な方です」

 そこは自信を持って言い切りました。
 レイ様を大事に思っていることは本当の気持ちです。嘘ではありません。

 あ、あの……レイ様?

 どうしたのでしょう。

 再び固まったまま微動だにしないレイ様は、まるで精巧に作られた美しい石像のよう。

 見惚れている場合ではないのですけれど。