「はい。わが国の王子殿下ですから、国民に、とって、レイ様は……大事な存在……です……よ」
あまりにも並々ならぬ真剣な顔で眼前に見つめてくるレイ様に、若干引きつり声が震えて、語尾が濁ってしまいました。
「国民?」
「はい」
何かが引っかかったのかレイ様が眉を顰めます。
おかしなことは、言っていませんよね?
国の象徴ともいうべき王族なのですから、大切に思うことは臣下として変ではないですよね?
当たり前のことですよね?
固まったまま考え込んでいたレイ様は、私に視線を向けるとパッと顔を輝かせました。何かを吹っ切ったような清々しい表情です。
私が言わんとすることをわかって下さったのでしょう。



