確かにそうだわ。
夜間に診てくれる医者は限られているものね。いつでも診察ができる治療院があればみんな安心だわ。そして、それを実行に移す先生も素晴らしい。
「実はそれについてはブルーバーグ侯爵様が協力して下さっているのです。それに賛同してくれる出資者も募って下さっています」
「まあ。お父様が?」
ビックリして目を丸くしました。お父様が協力者とは。
「サムシューズはフローラ様と侯爵夫人。治療院は侯爵様。本当にお世話になりっぱなしで、ブルーバーグ侯爵家に足を向けて寝れません。感謝してもしきれないくらいです」
深々と頭を下げた先生。
「それは先生のお人柄だと思います。両親も先生だからこそ協力しているのでしょう。私もですけれど。先生の夢の実現に微力ながらでもお力になれたのなら、こんな嬉しいことはありません」
頭を下げたままの先生の表情はわかりませんが、肩が震えています。
「これからも先生のお役に立てるように協力しますから、なんでもおっしゃってくださいね」
「なんて、もったいないお言葉を……」
顔を上げた先生の目には涙が光っていました。



