「気持ちはわからないでもないけれど、王妃殿下のお言葉でもあるし、拒否することは難しいわね。早く帰ったとして、もしもあなたに何かあったとしたら、取り返しがつかないもの。それはフローラもよく考えて」
「それは、重々わかっています。ただ、ちょっと聞いただけです。ごめんなさい」
懇々と諭されるお母様を前に私は小さくなっていきました。なんだか小さな子が両親にわがままを言っているようだわ。
「この際だから聞いてみてもいいかしら?」
お母様の笑みが深くなりました。
「はい」
「フローラ、レイニー殿下へのあなたの気持ちを聞かせてほしいわ」
「え?」
思いもかけなかった質問に面食らってしまいました。しばし、お母様を見つめてお父様を見ると私と同様に驚いた顔をしています。私と目が合ったお父様はコホンと咳ばらいをして目を逸らしてしまいました。



