お父様とお母様はお互いに顔を見合わせました。
「先ずは怪我を治すことだな。それから、事件が解決すれば邸に帰ってこれるとは思うが」
苦渋の決断でもするかのような渋い表情で告げるお父様。
レイ様とローズ様がおっしゃったことですものね。
「それにまた狙われたりしたらと思うと気が気ではないし、あなたの身の安全を思えば王城の方が安心だわ。事件の真相はわかっていないのでしょう? だったら余計に王妃陛下のおっしゃる通りにした方がいいわ」
お父様もうんうんと頷いています。
「そうですよね」
「どうしたの? レイニー殿下の宮では何か問題でもあるの?」
「いえ、そういうわけではないのですが、我が家の方が落ち着くかなと思って」
問題というか、レイ様と同じ屋根の下だと思うとドキドキして落ち着かなくて、どう過ごせばいいのかわからないわ。



