「怪我をしたようだけれど、大丈夫? 痛みはない?」
「少しだけ。でも大したことはないので一週間もすれば治ると思います」
「そうなのね。軽傷で済んでよかったわ」
「はい」
こんな事態に巻き込まれるなんて予想もつかなかったから、顔を見るまでは様子がわからず気をもんでいたでしょう。
とにかくも無事な姿を見せられてよかったわ。
「豪華なお部屋ね」
落ち着きを取り戻して紅茶を飲んでいると部屋を見回していたお母様の声がしました。
「客室だと思うのですけど、私には贅沢すぎるお部屋を準備してくださったみたい」
「王妃陛下もおっしゃっていたけれど、しばらく殿下の宮にお世話になるのでしょう?」
「そうみたいですね。私は出来れば早く邸に帰りたいのですが……」
チラッと訴えてみました。



