「あら、ごめんなさい。だって、フローラちゃんが誘拐されそうだったって聞いたら、居ても立っても居られなくなって、飛び出してきてしまったのよ」
「気持ちはわかりますが」
「でしょう? だから、今回は許してちょうだいね」
「しょうがない。今回だけですよ」
「わかったわ。今度から気をつけるわね」
先触れなしの訪れとノックもなしの部屋への訪問は本来ならマナー違反ですものね。やんわりと諭すレイ様と非礼を反省するアンジェラ様。
王族同士の会話がどことなくほのぼのしたものに感じられて口元が綻びました。
「それはそうと、どうしてフローラちゃんが狙われたの?」
「逮捕された者達を取り調べてみないことには、真相はわからないのではと思いますが」
「そうね。そうよね。フローラちゃんは何か心当たりはあるの? 気になった点とかないかしら?」
「義姉上。事情聴取はあなたの仕事ではありませんよ。それに今日の今日。当事者のローラに負担をかけることはおやめください」



