動きは一瞬で目に留まらぬ速さ。
シュッと風を切る音が耳元で聞こえたと思った時には、終わっていました。
しゃがれた呻き声と共に、のけぞるように後ろに倒れた男は気絶してしまったのか、ピクリとも動きません。
男の手から離れて支えを失い傾きかけた私の身体を誰かが支えてくれました。
背中に感じる人の気配に振り返ると
「良かった。間に合いましたね」
大きく息を吐いた男性。見覚えがあるような……目をぱちくりとしながら見ていると思い当たる節が。
ダン。そうよ。ダンだわ。いつもの騎士服とは違う私服姿のダンがいました。
かっちりと固めている髪は自然体でふわりとしていて、服装も白いシャツに濃いベージュのベストに黒いスリムなパンツに黒のブーツ。
初めて見る姿にダンであると認識するのに少し時間がかかってしまいました。
「ダン。どうしてここに?」
「非番で街を散策していたら、こちらの護衛騎士に出くわしまして、事情を聴いて駆けつけた次第です」
「そうだったのね。助かったわ。ありがとう」



