婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「良い縁談? 何のことかしら?」

「あら、わたしの聞き違いだったのかしら? ある侯爵家の令息との縁談ですわ。相手の侯爵家も名門で令息も将来有望な騎士だとか。両家ともとても乗り気だそうですわね? よかったですわね。結婚は祝福されてこそですもの」

「どこからそんなことを聞きましたの?」

 いやに具体的。家名を言わなくても特定できるわ。もうみんなに知れ渡っているの? 婚約を結んでもいないのに、噂が先行するなんて。

「さあ、どこでだったかしら? 先ほども言ったように小耳にはさんだだけですわ。でも、噂は本当だったようですわね」

 ディアナは扇子で口元を隠すと目を細めた。