婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「ローラ、そんなに難しく考えなくていいと思うよ。リッキーのために本を選びに行く。それでいいんじゃないかな」

「レイ様」

 難しくって、顔に出ていたのかしら。ややこしく考えすぎなのかしら。

 決めかねている私にレイ様がくれたのは承諾する理由でした。

 迷って考えあぐねていたけれど。レイ様は割り切っていらっしゃるようにも見えました。
 あくまでも仕事の内だと。教材を提供するために案内するのだと。

「わかりました。よろしくお願いします」

 義務的な物言いに寂しさも感じたけれど、けじめはつけないといけませんものね。

 何にも知らなかったあの頃に帰りたいと思ってしまいました。何のためらいもなく手を委ね、体を委ねられたあの頃に……