「ローラ、そんなに難しく考えなくていいと思うよ。リッキーのために本を選びに行く。それでいいんじゃないかな」
「レイ様」
難しくって、顔に出ていたのかしら。ややこしく考えすぎなのかしら。
決めかねている私にレイ様がくれたのは承諾する理由でした。
迷って考えあぐねていたけれど。レイ様は割り切っていらっしゃるようにも見えました。
あくまでも仕事の内だと。教材を提供するために案内するのだと。
「わかりました。よろしくお願いします」
義務的な物言いに寂しさも感じたけれど、けじめはつけないといけませんものね。
何にも知らなかったあの頃に帰りたいと思ってしまいました。何のためらいもなく手を委ね、体を委ねられたあの頃に……



