「あ、あの、いえ……」
どう説明しようかと狼狽えていると
「よかったね。レイおにいちゃん。ローラおねえちゃんもレイおにいちゃんのことが好きなんだって。じゃ、僕、帰るね」
ごにょごにょと途切れ途切れの言葉を拾ったリッキー様は、満足した面持ちでスッキリとした口ぶりで告げると、鮮やかに踵を返して駆け出していきました。
あっという間の出来事について行けず、立ち尽くすしか術がありません。
「おい、リッキー。ちょっと、待て」
「いやだよー。ローラおねえちゃん。また、遊ぼうね」
リッキー様が手を大きく左右に振りました。それからもう一度、くるりと向きを変え走っていきます。
「リチャード殿下。お待ちください」
マロンを抱き上げたエイブが慌てて後を追いかけていきました。
残されたレイ様と私。
一陣の風が吹き抜けたようなリッキー様の行動に呆然として、しばらく動けませんでした。



