婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「あ、あの、いえ……」

 どう説明しようかと狼狽えていると

「よかったね。レイおにいちゃん。ローラおねえちゃんもレイおにいちゃんのことが好きなんだって。じゃ、僕、帰るね」

 ごにょごにょと途切れ途切れの言葉を拾ったリッキー様は、満足した面持ちでスッキリとした口ぶりで告げると、鮮やかに踵を返して駆け出していきました。

 あっという間の出来事について行けず、立ち尽くすしか術がありません。

「おい、リッキー。ちょっと、待て」

「いやだよー。ローラおねえちゃん。また、遊ぼうね」

 リッキー様が手を大きく左右に振りました。それからもう一度、くるりと向きを変え走っていきます。


「リチャード殿下。お待ちください」

 マロンを抱き上げたエイブが慌てて後を追いかけていきました。

 残されたレイ様と私。
 一陣の風が吹き抜けたようなリッキー様の行動に呆然として、しばらく動けませんでした。