婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「ふう」

 大仕事を終えたとばかりにリッキー様が額を手で拭っていました。その仕草が愛くるしくて笑みを誘います。

「リッキー、頑張ったな」

 レイ様から労いの言葉をもらったリッキー様は満足そう。目を白黒させていたマロンはまだレイ様の肩の上。

「まったく。マロンも油断ならないな。興味津々だったし、ちょいちょい、水をつついてたのは見ていたから、悪い予感はしてたんだ」

 マロンの頭を撫でるレイ様。
 高みにいるマロンは何事もなかったかのように、手のひらに頭をスリスリして気持ちよさそうに、ゴロゴロと喉を鳴らしています。

「マロンすごかったね。あんなに大きい魚を捕まえるなんて思わなかったもん」

「そうだな。本人が一番びっくりしてるんじゃないか。こいつの驚きようを見たら捕まえるつもりはなくて、運よく爪に引っかかって釣り上げた形になったのかもな」