婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「やっぱり、猫だなあ」

 ちょっと、困ったようにつぶやいたレイ様は

「レイお兄ちゃん。この魚、なんという名前?」

 次々と指さすリッキー様に答えていました。

 川に沿って場所を変えて歩きながら、ポツリポツリと話をします。ローラと呼ばれるたびに胸が熱くなって恋しさがこみ上げてきます。

 プロポーズを断ってしまった私が今更と思う気持ちもあって、遠慮がちになってしまう。相応しい方は他にもいる。そう思う自分もいて、頭の中が混沌としている。


「うわっ」

 不意にレイ様のひときわ大きな叫び声が聞こえたと思ったら、一目散にマロンがレイ様の身体を駆け上り肩に乗っていました。おっかなびっくりといった体で目の前を凝視しています。

「でっかいの釣り上げたな」

「マロン、すごーい」