婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「レイ様もですか?」

 先ほどの言い方からするとレイ様も例外ではないのでしょう。

 場の雰囲気を壊さないように、思い切って聞いてみました。緊張してぎこちなさはあるけれど。

「俺? 俺は違うって言いたいところだけど、一番甘やかしているかもしれないな。甥っ子って無条件にかわいいから、ついつい甘くなるんだ」

 なんとも甘やかな表情で紅茶を口にしたレイ様。思わず見惚れてしまいました。
 私を見る目が温かくて少しだけ妖艶な色も孕んでいて、いけないと思うのに目が離せなくて……

「ローラおねえちゃんは食べないの?」

 甘美な雰囲気に酔っているところへリッキー様の声に空気が霧散してしまいました。
 目の前にはケーキと紅茶がセッティング済み。

 レイ様に見惚れている場合ではなかったわ。恥ずかしい。

「いただきます」

 小さめにカットされているから、これだったらお腹に入りそう。

 食べている間は会話をすることもないでしょうから、ちょうどよいかもしれないわ。