婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「おかわり」

 リッキー様の元気な声が聞こえてきました。

「畏まりました。どうぞ、殿下」

 空になった皿を手早く片付けたルーシーの後にケイトがケーキの乗った皿を差し出しました。

「リッキー様。もう、お腹いっぱいでは? あちらでもおやつ召し上がりましたよね?」

「だって、お腹すいてるもん」

 目をキラキラさせながら、二つ目のメロンのショートケーキを食べ始めました。

 今日の東の宮でのおやつはミルクとクッキー。
 夕食も控えているとなると妥当な量だったと思うので、ここでケーキを二個も平らげると夕食は入らないのではないかしら。

「おやつ目当てで遊びに来ているもんだからな。咎める者もいないし」

 そういってセバス達側近に視線を移すレイ様。
 セバス達は目を合わせないように、顔をあらぬ方向に向けて聞かないふりをしています。その通りなのでしょう。少々、バツが悪そうな顔をしていました。