最後まで言い終わらないうちにレイ様が名前を呼びました。ハッとしてレイ様を見ると悲し気な表情を浮かべています。
「今まで通りでいいのに。なぜ、呼び方を変えるの?」
「ご迷惑ではないかと思って……」
私なりにけじめをつけたつもりだったのです。
馴れ馴れしくしては、いつまでも勘違いをしてしまうかもしれません。それにお相手の方にも失礼になると思い、改めたのですが……
「俺はそんなこと言ってないし、思ってもいないよ。今まで通りでいいから。それとも、これから俺に、フローラ嬢もしくはブルーバーグ侯爵令嬢と呼んで欲しいの?」
それは、考えていませんでした。
「あ、あの……」
なんと答えていいのかわからなくて、言葉が続かず口を閉ざしました。



