我慢していたのに。ディアナに涙は見せたくなかったのに。

 瞳いっぱいに膨れ上がった涙は雫となって頬に流れ落ちました。あとからあとから零れる涙は止めることができなくて、見兼ねたディアナが自分のハンカチを貸してくれました。

 
 レイ様。

 脳裏に甦ったビビアン様の暴言の数々が放たれた刃となって、心の奥深い場所をえぐっていきました。

 レイ様。

 あの日踊ったダンスは遠い日のよう。本当は夢だったのかもしれないわ。私は夢を見ていたのかも、ずっと。


 泣き止みそうもない私の横で、何も言わずにディアナがそっと寄り添ってくれました。