「ですわよね。少し親しくしているというだけで、結婚できるだなんて勘違いをするような愚かな令嬢でなくて、分を弁えた方でよかったですわ。フローラ様、そのことをお忘れなきようにね」
レイ様と私の間には何もない。ましてや結婚なんて……あるはずはないわ。
レイ様にとって私は小さな子供のようなもの。
ビビアン様はなぜ私をそんなに責め立てるのかしら?
「レイニー殿下に相応しいのは、王子妃として横に立てるのは、わたくしのような美貌も教養も何もかも完璧な令嬢こそ相応しいと思いませんこと? わかったかしら? 分相応。先日言いましたわよね。何事も格があるのですわ。王子妃に相応しいのは誰であるか。誰の目にも明らかだと思いますわよ。ふふっ。婚約破棄された地味で冴えない傷物令嬢では相応しいとは言えませんわね」
ああ、これが言いたかったのね。
レイ様に相応しいのは自分だとビビアン・シュミット公爵令嬢だとそういいたかったのね。



