「冷たいですわね。わたくしお友達でしょう? 推薦してくださってもよろしいのよ。二人で担当するのもよいのではないかしら。名案だわ。そう思いませんこと?」
突拍子もない提案に是とは言えません。黙ったままでいると今度は鉄扇でくいっとあごを持ち上げられました。
「私はあくまでも臨時ですので、正式な教師は間もなく決まるかと思います。ですので私ではお力になれないかと」
「あら、そうですの。あなたも案外使えませんのね」
無茶な事を平然と言ってのけるビビアン様に言い知れぬ恐怖がこみ上げます。
「そろそろ、レイニー殿下を解放して差し上げたらいかがかしら?」
レイ様? 解放してって、どういう意味なのでしょうか?
「レイニー殿下もお気の毒ね。ガーデンパーティーで知り合ったばかりに、こんな地味で冴えない令嬢の相手をしなければならないなんて。いい加減、うんざりしていらっしゃるのではないかしらねぇ」



