婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

 少し苦笑いを浮かべていると、先ほどのメイドが料理を運んできました。

 テーブルに並べられたのは、大皿に盛った一口サイズの様々な料理。しかもディアナが好きなチーズを使ったものがメインで、どれも二つずつ。
 これは私の分もあるってことかしら?
 
 目の前に現れた料理に目が釘付けになっていると、私のテーブルにも皿とカトラリーが準備されました。

 やっぱり。
 
「ほかに欲しいものがあればメイドに頼むか、取りに行ったらいいわ」

 ディアナは満足した様子で、ロイヤルミルクティーを飲んでいます。
 これもディアナの好物。

 料理も飲み物も指定したものはなかったはずなのに、彼女の好みを把握してるなんて……それとも、偶然なのかしら?

「こちらのメイドって気が利くのね。私の分まで用意してくれるなんて」

 普通は言われたことのみ行動するのが当たり前なのに。

 余計なことをするとトラブルに発展することもあるので、使用人は独自の判断はしない。これは鉄則です。例外はありますが。