悔しい。悔しいわ。

 いつの間にハイスター公爵まで引き入れているのよ。ディアナもなんでわたくしに公爵を紹介してくれなかったのよ。わたくしに先に引き合わせるのが礼儀でしょうに。

 そしたら、もっと早くレイニー殿下と会えていたわ。こんな惨めな思いをしなくてもすんだのよ。

 期待に満ちた数時間前は今は夢まぼろしのように消えてしまった。

 
「ねえ、お父様? レイニー殿下のお相手は決まっているのですか?」

「いや。何も聞いていない。これからだよ。ビビアンも興味があるのかい?」

「ふふっ。気にしている令嬢がたくさんいらっしゃるので、聞いてみましたの。素敵な方ですもの。みんな憧れますわ」

「そうか、そうだな」

 そうよね。まだ、正式に決まったわけではないわ。まだ、わたくしにもチャンスはあるはずよ。それに、結婚するまでは何があるかわからないものね。

 フフフ。

 大丈夫よ。
 最後の最後に結婚出来ればいいのよ。諦めないわ。