そのチャンスもディアナとハイスター公爵の登場で無になってしまった。


『僕はシュミット公爵令嬢とは面識がないのだけれど、それでも同席したいのかな?』

『ディアナとフローラ嬢の友人のようだから、どうしてもというならば同席しても構わないよ。どうする?』

 公爵の言葉にはわたくしに対する敬意も爵位が同じもの同士の親しみもなかった。仲間に入れてあげようという優しさも感じられなかった。わたくしは邪魔者扱い。

 こんな惨めな思いをしてこの場にいるのはつらい。

 こんな屈辱は初めてだった。

 国王陛下の甥で側近。心証を悪くするわけにはいかない。王子妃への道が遠のく可能性があるから、引くしかなかった。