ビビアン様の右手に持っているものがぷらぷらと揺れているのが目に入りました。
揺れているものが気になって、目を凝らしてみているとパサリと地面に落ちました。頼みの綱だった糸らしきものが切れてしまったのでしょう。
なにかしら?
不思議に思っていましたが、柄のようなもの。
ひゅっ。
その正体に気づいた刹那、喉がなり息を呑みました。
扇子。
右手に持っていたのは扇子です。
ぽっきりと折れてしまった扇子の半分は失われて地に落ち草むらの中。
バキバキッ。さっきの音の正体は……
ちょっとやそっとの力では折れないはず。
ましてや女性の力で簡単に折れるはずはありません。
どれほどの力であれを?
想像した途端、今なお、睨みつけているビビアン様の相貌に、ぶわっと鳥肌が立ちました。
思わず、レイ様の腕にしがみつきました。
レイ様はあやすようにポンポンと背中を軽く叩くと私を隠すように背を向けます。



