私をジッと見つめていたレイ様の目元が緩んで笑みが浮かびました。八重の薔薇が絢爛と咲き誇るような麗しい笑顔。あまりの美しさに息を吞みました。
今夜のレイ様はいつもと違う。ぼんやりとそんなことを考えていると、唇から外された指は優雅に弧を描き私の胸元へ。
その様子がまるでスローモーションのように目に映って、呼吸をするのも忘れて見入っていました。しなやかな動きで髪を一房掬い取ったレイ様は唇を近づけてキスを落としました。
か、髪にキス⁈
一瞬、何が起きたのかわからなくて私のすべての機能がフリーズして頭が真っ白に……
「踊ろうか? ローラと踊らないと今夜は眠れないかもしれない」
形の良い唇が言葉を紡ぎます。
ちょっとおどけたようなレイ様の声にハッと我に帰りました。



