そんな私の思いとは裏腹にレイ様はキョトンとした顔で私を見つめていました。
「俺が許可したから大丈夫だよ」
愛おしげに目を細めるレイ様に胸の奥が甘く疼きます。
思いを自覚するとこんなにもひとつの表情が胸を打つのだと初めて知りました。
レイ様はあまりにも優しすぎるので勘違いしそうにもなります。甘い夢は見ないようにしなければ、失礼になるでしょうし、彼はきっと私なんかを好きになるはずはないのですから。
「疲れただろう? 座ってゆっくり話さないか」
「はい」
木製ではなくクッション性のある柔らかいベンチ。ソファといってもいいくらいの座り心地のよいもので、それだけでも別空間だとわかります。
「レイ様、手を……」
「んっ?」
物音に気付いて場所を移動した時から、ずっと手をつないだままでした。



