なぜ、そんなに洗濯がしたいのかしら?
楽しみだなんておっしゃっているけれど、王子殿下のやることではないですよね。
ハンカチ一枚くらいなら洗濯に時間はかかりませんが、側近の方々が困るのではないかしら。絶対、この話題には触れないようにしましょう。
隣に腰を落ち着けたレイ様はどことなく得意げに見えました。
それにしてもくっつきすぎではないでしょうか? 隣に座るレイ様に慣れたといえ、この距離は許されるものなのでしょうか?
先程の令嬢達の姿が思い浮かびました。チクンとした痛みをともなって。
「星がきれいですね」
憂いを払うように空を見上げました。
数多の星々が夜空を飾り光輝いています。大きな満月がぽっかりと浮かんでいました。
「そうだね。でも星よりもローラの方が……」
レイ様が何かを言いかけた時、ミシッと音が聞こえました。
私達は顔を見合わせました。



