婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「洗って返すからね」

「あの……レイ様はやめてくださいね」

「えっ?」

 とても心外な顔をされました。
 やっぱり。ご自分で洗うつもりだったのですね? なんとなく、そんな気がしたので先手を打ったのですが。

「ローラに洗えるなら俺にもできると思うんだよね。まかせて」

 なんだか自信ありげに片目をつむって見せたレイ様ですが、果たして大丈夫でしょうか? 

「ん? 私にできるならっておっしゃいましたよね? どういう意味なのでしょう?」

 これはちょっと聞き捨てならないような気がしてきました。 

「俺、そんなこと言ったっけ?」

「言いました。とぼけないで下さいね。それって、褒めているわけではないですよね」

「ローラだって洗濯したことないよね? 俺と同じで」

「あります。いつも洗濯してますから。布類ですけれど」

 レイ様の声にかぶせるように答えました。
 研究や料理に使った布などは自分で洗いますからね。ちなみに食器類や鍋とかも洗います。あらぬところに発展しそうなので、これは内緒です。