イヤな記憶が頭の中に映し出されて悲しい気持ちにさせる。消し去ったはずだったのに頭の片隅に隠れていたのね。
今になって思い出すなんて……
ジクジクと痛む心。
奈落の底に突き落とされたような絶望感をずっと味わっていて、やっと解放されたと思ったのに。まだついて回るのね。
「ローラ?」
過去の苦い記憶に打ちのめされて落ち込んでいるところに、私を呼ぶ声がしました。
幾度となく耳にする大好きな声音。トクトクと早くなる鼓動。
そろそろと後ろを振り向くと
「……レイ様」
思った通り、息を弾ませた彼の姿がありました。



