令嬢達が待っています。独り占めするわけにはいけませんものね。
夢から覚めて現実に立ち返ると一令嬢の我儘は押し通せません。レイ様のためにも身を引くのも必要でしょうから。
「そうか。残念だな。その代わり、あとで会ってくれる? 話がしたいんだ」
交換条件?
スッと真顔になったレイ様に断る理由もないので承諾しました。
祝賀会は宴もたけなわ。会場は祝福ムードに包まれて盛り上がっています。
レイ様は次の令嬢とダンスを始めるようです。
歓声が上がり順番を待つ令嬢達がウキウキしているように見えました。ハートマークのキラキラした瞳でダンスを踊る令嬢。うっとりと見つめる令嬢達。
レイ様って、本当にモテるのね。
自分だけのレイ様でないのは当たり前のことだったのに、今まで気づかなかった私ってどれだけ鈍いのかしら。
レイ様は第三王子殿下。誰だって選べる立場。
仲良くして頂いたのが奇跡のようなもの。
寂しい気持ちを抱えつつ、レイ様を遠くに眺めていると不意に声がかかりました。



