「これは……もしかして、ルナ・テラスのケーキ?」

「ええ、そうよ。そろそろ食べたいのでは、と思って買ってきたのよ」

 シックなケーキ箱のロゴを確認して感嘆の声を上げたのはアンジェラ。

 今日は彼女とのお茶会の日。

 月に一度は東の宮を訪れている。お茶会兼情報交換会といった方が正しいかもしれないわね。
 今の時間帯はリチャードはお昼寝中。

「そうなの。よくわかったわね。ルナ・テラスのケーキが恋しくなってたところなのよ」

「それは、グッドタイミングだったわね」

「あら。でも、ルナ・テラスはテイクアウトはNGだったはずだけど」

 お店で出来立てを食べてもらいたいという方針があるようで、持ち帰りを受け付けていない。

「基本はね。何事にも例外はあるわよ」