「あっ!」
合点がいきました。
それなら、心当たりがあるわ。
まさか、ディアナがレイ様に贈ったとは思わなかった。そんな出来事があったとは一言も言わなかったから知らなかったわ。あのお菓子がレイ様に届いていたのね。
あれは試作の段階だったから、今度はもっと上手にできたものを召し上がって頂きたいわ。
「うん。そういうことなんだ。ごめんね、誤解させるようなことを言ってしまって」
「いいえ。私も勘違いで早とちりしてしまったみたいで、申し訳ありません」
やっと真相がわかってホッとしました。
よくよく聞いてみれば何のことはない。
自作のお菓子を私が知らない間にレイ様が召し上がったってことだったのね。
レイ様の規則正しい心臓の鼓動が耳に響いてきます。すっぽりと包まれた腕の中は幸せな夢の中にいるよう。



