事を大きくしようとも広げようとも思っていませんから。妙にこだわられると怪しさがマシマシになるのですけれど。モヤモヤも募っていきます。
「ほら、あそこにベンチがあるから座って話そう? ね?」
レイ様に手を取られて腰に手を回されて、半ば強制的にベンチに座らされました。
生い茂った木々が程よい木陰を作ってくれています。
見上げると青い空が広がっていました。
ぴーひょろろ。
トンビの声でしょうか? 空の上から聞こえてきました。
「で、ローラ。さっきのお菓子の件だけど」
「レイ様、そのことについてはもう……」
聞きたくない。
「うん。だから聞いて」
逃げ腰になった事に気づいたのかレイ様は私を抱き込みました。
こんな時のレイ様の行動は素早くて、察知能力に長けてらっしゃるわ。耳も塞げないんですもの。
切なくて胸をきゅうっと絞られるように苦しい。
なんでこんな気持ちになるのかしら。



