婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

 
 事を大きくしようとも広げようとも思っていませんから。妙にこだわられると怪しさがマシマシになるのですけれど。モヤモヤも募っていきます。

「ほら、あそこにベンチがあるから座って話そう? ね?」

 レイ様に手を取られて腰に手を回されて、半ば強制的にベンチに座らされました。
 生い茂った木々が程よい木陰を作ってくれています。


 見上げると青い空が広がっていました。

 ぴーひょろろ。

 トンビの声でしょうか? 空の上から聞こえてきました。


「で、ローラ。さっきのお菓子の件だけど」

「レイ様、そのことについてはもう……」

 聞きたくない。

「うん。だから聞いて」

 逃げ腰になった事に気づいたのかレイ様は私を抱き込みました。
 こんな時のレイ様の行動は素早くて、察知能力に長けてらっしゃるわ。耳も塞げないんですもの。

 切なくて胸をきゅうっと絞られるように苦しい。


 なんでこんな気持ちになるのかしら。