婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

 
 今日はゆっくりと時間が取れないことは手紙で事前に伝えているので、ご承知だとは思うのですが、今確認するのも野暮なことかもしれません。
 時間は気になってはいても、レイ様のそばは居心地が良くて離れがたく思ってしまいます。

 新緑の若葉が濃い緑に変わって季節の移ろいを感じさせてくれます。

 小鳥が小枝に止まって囀っていたり羽繕いをしていたり。レイ様と音を立てないように息をひそめて自然の営みを観察していると、ここ最近の嫌なことも忘れて幸福感で満たされていきました。

 忙しくてお断りしようと思ったけれど、お会いしてよかったわ。レイ様の笑顔を見てるだけで癒されるもの。

「そういえば、池の件はどうなった? あれから一向に話が進まない気がするけど?」

 池のほとりで魚たちを眺めていると、うやむやになっていた我が邸の話。