懇願するように切ない瞳で見つめられて、手をぎゅうと握りしめられて、ドクンと心臓が跳ねました。色香を纏った表情にドキドキしてしまいます。レイ様ってこんなに艶麗な方だったかしら?
「そうなのですね。勘違いをしてしまって申し訳ございません」
「いや、いいんだ。この前が悪かった。仕事が入ったばっかりに途中で帰らせてしまって、どれだけ後悔したことか……」
悔しさに滲んだ声で謝るレイ様にちょっと大袈裟ではと思いつつも、自分との時間を大切にしてくれている気持ちも窺えて、 心の中に蝋燭の火が灯ったような温かい気持ちになりました。
「レイ様……」
「歩きながら話をしようか」
気持ちが多少落ち着いたところで、庭園を見て回ることにしました。



