外へ出ると木々の緑が視界いっぱいに広がっていました。爽やかな風が頬を撫でていきます。
「気持ちがいいですね」
からりと乾いたそよ風が心地よいわ。
「うん。そうだね」
「レイ様?」
上の空な声を不思議に思いながらレイ様の横顔を見上げました。私の視線に気づいたのか咄嗟に笑みを作ったレイ様。
「ああ、ごめんね。考え事してた」
「もしかしたら、執務がお忙しいのでは? 私はお暇致しますので、お気遣いなさらずともよろしいですよ」
リッキー様の後の流れでレイ様の元へ訪問するのが半ば習慣となっていましたが、必ずそうしなければならないというわけではありませんものね。お忙しいでしょうに私なんかのために、レイ様の貴重な時間を使って頂くのも気が引けてしまいます。
「ごめん。そうじゃないんだ。仕事はすませているから何の心配もしなくていい。何でもないから、帰らないで」



