婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

 
 あの日、ビビアン様が去った後、ぴんと張り詰めた緊張の糸がぷっつりと切れてしまったのか、涙が溢れて泣いてしまいました。決壊した涙はしばらく止まらず、そんな私の背を撫でながらハンカチで涙を拭いてくれました。

『気にしなくてもいいわよ。あなたは何も悪いことなんてしていないわ。悪いのはエドガーよ。あんな言葉で非難されるいわれはないの。だから悲しまなくてもいいのよ。卑下する必要もない。フローラ、あなたはあなたのままで、あなたを愛する人はたくさんいるのだから、自信をもっていいのよ」

 ディアナは優しく励まして慰めてくれました。

 わかっています。
 ディアナも友人も両親も、私を愛してくれている。
 気にしなければいいとわかっているのです。

 それでも、胸に突き刺さったとげは抜けないまま、ズンと沈み込む気持ちを抱えたまま、無理やり笑顔を作ります。

 そうしなければ、泣いてしまいそうだから。