「ふふっ。潔いこと。さすが侯爵令嬢ですわ。そんなに悲観されずとも相応しい方は現れますわよ。立場さえ弁えれば。あら、随分と時間が経ったみたいね。わたくし、失礼させていただきますわ」
席を立つとビビアン様は軽くカーテシーをして
「今日はとても楽しかったわ。また一緒にお茶を致しましょう? お代は心配なさらなくてもよろしいから、二人はゆっくりしてらっしゃってね」
一方的に告げると店を出て行きました。
傷物令嬢。
心の中に刻まれた瑕疵。
「どなたもこなたもわたしが誰だか忘れているようね。わたしの親友と念を押したのに、おバカな人ね」
涙をこらえている私の肩を抱きながらポツリと零したディアナ。
これが後々の報復の火種になるとは思ってもいませんでした。



