扇子を閉じる時のピシッと小気味のいい音が聞こえたと思ったら
「心配してくれてたのね、ディアナ。でも、心配には及びませんわ。相手は決まっておりますのよ」
恥じらいながら頬を染めるビビアン様。
「あら、いつの間に? 聞いてませんでしたわ」
「ごめんなさい。まだ、教えられませんの。そうですわね、近いうちに発表されると思いますわ」
誇らしげに声高らかに宣言するビビアン様。
「そうなのですね。その時を楽しみにしておりますわ」
「わたくしのお相手を楽しみにしておいて。フローラ様、つり合いの取れた相応しい結婚というものがわかると思いますわ。高位貴族であっても、傷物令嬢には到底手が届かないお方ですのよ。フローラ様も相応しいお相手を見つけて下さいませね。何事にも分相応というものがありますもの」



