「政略結婚というものにも愛は必要だと思いますわ。よしんば、愛はなくてもお互いを尊重する気持ちは大事なことでしょう。婚約の段階で浮気をするなど言語道断ですし、家同士の契約にも支障をきたすことは一目同然です。それに自分の娘を軽んじて、別の令嬢に現を抜かす男との婚姻を許す親など、いないのではありませんか」
「……そ、そうね」
ディアナの剣幕に気圧されたのか、ビビアン様の顔が僅かに引きつっています。
力説過ぎるのではないかしら。
庇ってくれるのは嬉しいのだけれど、できれば早く終わらせたいわ。
「あの……」
もうお終いにしてほしいと口に出そうとした私を、ディアナが手を出して遮りました。



