ここで断ったところで強行突破してくることは目に見えているからな。今は会いたい気分ではないけれど、言う通りにしておいた方が無難だろう。

 しかし、急に何の用なんだ?

 どんなに頭をひねっても、ディアナの訪問の理由がわからない。まっ、いいか。聞けばわかることだ。

 応接室に足を運ぶとすでにディアナがソファに座っていた。

 早いな。

 返事を聞く前にすでに通されていたのだろう。

 誰もディアナには逆らえない。祖父母はもちろん、両親である国王夫妻のお気に入りなのは周知の事実。ヒエラルキーは俺たち王子より上だものな。
 
「あら、遅かったわね」

「すまない。仕事があったもので」

 理由をでっち上げ、そっちが早すぎるだろうと口にはできないから、心の中で呟くに留めて椅子に座った。