「殿下。ディアナ様がお会いしたいとのことですが、どういたしましょう?」

 急な来客の用事をすませて、脱力してしていたところにまた来客か……しかも、ディアナとは。

 ほんとうなら、今頃はフローラとお茶したり散歩したり、色々な話題で盛り上がって楽しく過ごしているところだったのに。
 帰さなきゃよかったな。

 仕事とはいっても急を要するような案件はなく、俺でなくても対処ができるものばかりだったし、そんなことより、何故だか娘の自慢話を聞かされてうんざりしてしまった。

 気が滅入っている時こそフローラに会いたいな。あの笑顔に癒されたい。フローラを抱きしめたい。
 彼女のふわりと温かい笑顔を思い浮かべて、ほっこりとしていると

「レイニー殿下。入っていただきますが、よろしいでしょうか?」

 さっきより強い口調で聞いてくるセバス。俺が返事をしないから焦れたのだろう。
 俺はセバスを一瞥して

「ああ」

 仕方なく頷いた。