「ただね。レイニー殿下のことがあるから、ちょっと、頭を悩ませているところよ」


 シャロン様がちょっと困ったように笑う。

 そうよねえ。

 正式ではないにしろ、王家から縁談を勧められているのも同然の上、何の進展もないから対処のしようもないですものね。
 
「でも、結局のところ、フローラの気持ちが大事ですからね。あの娘の気持ちを尊重するわ。ごめんなさいね、ディアナちゃんに愚痴ってしまったわ」

「いいえ。話をしてもらってよかったですわ。フローラの気持ちが大事。これにはわたしも賛成しますわ。幸せになってほしいですもの」

 さて、さて、うかうかしてられませんわね。
 すぐにでもハッパをかけに行きましょうか。

 そんなことを考えながら、わたしは残っていた紅茶を飲み干した。