「縁談が来るのは有難いことよね。どんな理由があっても、一度婚約が壊れると次を見つけるのは難しいと言われているものね」

 世間一般ではそうでしょうけれど……

 才女と言われる侯爵令嬢。彼女の才能がどれだけの富を生み出しているかを理解すれば、ないがしろにされることなどないことくらいはわかるわ。
 婚約者がいないとなれば、年頃の子息を持つ貴族家にとってフローラは垂涎の的でしょうね。

 わたしも日頃懇意にしている方々を紹介したけれど、彼女に見惚れていた夫人ばかりだったもの。性格的にも好感を持たれたことはいうまでもないわ。

 社交場という表舞台に出ると、こういう副産物もあるのね。

 さて、どうしましょうか。