「ディアナちゃん。実はね、フローラに縁談の話がちらほらとあるのよ」

「えっ?」

 フローラに縁談? 
 思いがけない話にわたしは目をぱちくりとさせて、シャロン様を見つめてしまった。

「先日、ローシャス公爵夫人のお茶会に出席したでしょう? そこでフローラを気に入って下さった方もいらっしゃったらしくて、釣書がいくつか届いているの」

「それで、返事はどうされたのです?」

「一応、今のところ保留にしているわ。このことはフローラは知らないの。でも黙っておくわけにもいかないだろうから、話をするつもりではいるわ」

 シャロン様は心を落ち着けるようにか、少し冷めてしまった紅茶を口に含んだ。