婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

 外から眺めたばかりでも大きなお邸だとは思いましたが、まさか、ここがほんの入り口の別邸だったとは思いませんでした。

 すごいわ。

 うちのお邸だってそこそこ広いとは思っていたけれど、上には上があるんですね。

 さすが筆頭公爵家。
 その歴史は建国時まで遡るという由緒正しき家柄。その伝統ゆえに王妃を何人も輩出しているので、ディアナの伯爵家と同じように王家とのつながりの深い貴族家でもあるのです。

「さあ、フェリシア様がおっしゃったように、今日は楽しみましょう。こんな大掛かりなお茶会に来るのは初めてでしょう?」

「はい」

 私は大きく頷きました。

 まだ学生の身であり、お茶会も友人が中心でしたし、パーティーもほとんど顔を出すことがありませんでした。
 研究が中心で家に籠ることの方が多かったので、正式なお茶会に出席するのは初めてです。